ルチャリブレについて

2月のファンタスティカマニアが閉幕してしまい、大変寂しい。

発端は2025年2月ごろ、スペイン語を勉強しつつメキシコ文化について調べ始めていた時期に、本屋でふと見かけたスペイン語教材が「ルチャリブレで学ぶスペイン語!」的タイトルの、楽しそうな本だったこと。今思うと、それはかの有名なミキティコさんのご著書だった。当時は、初歩中の初歩、スペイン語の数の数え方が覚えられず悪戦苦闘していた時期で、1000まで一応覚えたつもりが、字面が似てる?6(セイス)と7(シエテ)を逆に読んでしまうこともあるという初レベル。で、その本をぱらっと読むと「ルチャのカウントで数字を覚える」というようなアイデアが書いてあった。なるほどと得心した私は、鉄は熱いうちに打てということでその日の夜に早速ルチャリブレを検索。「ミスティコ、、ふーん、神秘って意味なのか、、」と思いつつ、ミスティコが過去に来日した時の試合をyoutubeで見たのだった。

その衝撃たるや凄まじかった。技名とか全くわからないけど、体格が立派なレスラーがリング上で(外でも)ダイナミックに、そして華麗に跳び回っていて目が離せない。タイツとマスクもキラキラしててカラフルで最高だった。あと筋肉。筋肉というものに強い興味を持ったのは人生で初めてだ。なんで?なかやまきんに君の筋肉には全く関心ない(ごめん)のに。しかし初ルチャ動画、見る前の私の想像の遥か上を飛んでいたのだった。もちろん、カウントで数字の6と7を覚えることもできた。画面を通して、ルチャはとにかく私の感性の新たな扉を次々と開け放ってくれた。メキシコ。どういう国なんだろう。一層メキシコへの興味とわくわくが強まるのだった。
その後、スペイン語学習の合間にメキシコの試合動画のダイジェストを見ては人間離れした技の数々に言葉を失い、パソコンを閉じてはため息をついた。つぎは現在活躍しているルチャドールをChatGPTを通じて学習した。次は歴史の学習へ(闘鶏がルチャの原点という説もあるようだ。闘鶏だけでなくて動物を戦わせる賭け事は見ていて気持ちのいいものではないけれど、闘鶏が重要なテーマのメキシコ映画『黄金の鶏』は依存と栄光と凋落を描いた凄みのある作品で、個人的に影響を受けたと書いておく。ちなみに同作はかの有名な文学者で、写真家でもあるフアン・ルルフォが原案を書いている)と、興味の赴くままに調べ、ますますルチャを直に見たいな〜という思いが募ったのだった。

スペインに渡航して語学と格闘している間に、しばらくルチャを忘れていたのだが、帰国後に2月にファンタスティカマニア開催予定というニュースが飛び込んできた。行くしかない、と強く思いつつも私はルチャは当然、プロレス自体観戦したことがない新参者すぎて、流石に後楽園のチケットは怖気付いてとらなかった。周りにルチャリブレ好きの知り合いもいなかったので、1人で観に行く気満々だったし。そんなふうにビビりまくった結果、雰囲気だけでも楽しめたらいいやと思って、代々木体育館の一番安価な席をそっと予約した。
当日、原宿の紅茶専門のカフェに立ち寄ってアイスミルクティーで頭をサッとクールダウンさせてから、会社帰りのOLを装って会場に向かった。入場後、サイン用グッズの購入列に並ぶか、グッズのみの列に並ぶか逡巡して、勢いだけで人数限定サイン用のグッズ列に並んでみた。そもそもスポーツの観戦自体が人生初だったから緊張していたのだけど、サイン欲しさ、あわよくばスペイン語を話したい、特にルチャドールと話したい、という強い気持ちがそれを凌駕して、どきどきそわそわして待っていた。
ミスティコのサインは定員だったけど、ソベラーノJr.とマグヌスのサインは頂戴できた。とてもうれしい。並んでる間、人の波の隙間から座ってるマグヌスの素晴らしい二の腕と、立ちながらファンサービスしまくるソベラーノの綺麗な逆二等辺三角形の体格が垣間見えた。「え、、ほんとう、、ほんとうにいる、、」と言う弱々しい感想しか浮かんでこなくなって、列が進むたびに意識がどんどん薄れていった。ついに自分の番となると思考停止してしまって、サイン色紙を受け取るや否や予定していた「¿Me podría dar un autografo?(サインいただけますか?)」がビュッと吹き飛んだ。冬が終わりかけたこの頃、こりゃ即雪溶けるんじゃないかという爽やかな明るさで「¡Hola! How are you」とソベラーノが英語で話しかけてくれたのに、「Hola!!! あ、、あ、、Sí, estoy muy bien...Muchísimas Gracias!!!(ハイ私とても元気です、本当にありがとうございます)」と変なテンションで言うしかできなかった。マグヌスにも壊れた録音機のように「Muchísimas Gracias!!!」と繰り返した。2人とも不思議そうな表情で(英語で話しかけているのになぜスペイン語で返すんだ、、?みたいな?)奇妙な様子の私を見送ってくれた。本当はここで写真撮影をお願いするのが定石だろうし、スーパーナルシスト・ソベラーノJr選手も当然その予定だっただろうと思うが、私はご本人たちを目の前にしただけで胸がいっぱいになってしまい、謎のお礼しか言えなかったのである。もちろん写真もお願いする予定だったし、「今日楽しみにしてます」とか言うつもりだったのに、もっと言いたいことはあったのに。。ドッと悔しさが込み上がってきたものの、素晴らしい筋肉と笑顔の残像にすごく慰められた。次の機会のために、脳内真っ白になっても話せるレベルの語学能力を磨こうと決意した。

その後の試合、大ーーーーーー変面白かった。
観客席には、割とスペイン語圏の人々と思しきファンも集まっていて、彼らの熱烈な応援も「わ、、現地ではこう言うふうに応援するんだ、、」と大変嬉しい気持ちで(?)メキシコを感じることができて大満足。ていうか画面じゃなくて、生のルチャリブレを見れただけでもう私は胸がいっぱいになるレベル。昨日まで画面の中にいた存在が、目の前で跳んだりしてる事実だけでもはやありがたかった。テンプラリオとソベラーノJrの試合では、目の前でライバル関係の2人が試合してる事実だけで胸熱になるという初心者ぶりを発揮。ロープの間からリング外にぶっ飛ぶトペ・スイシーダの応酬もびっくりしたし、本来は引き分けが存在しない(らしい)ルチャにおいて、今回の引き分けが許せずリングに残ろうとする2人の様子が血の気が多くて大変良かった。いちいち「ワ、、」「エ、、」「スゴ、、」とか思わず口に出てしまうたび、横の人々の視線が気になってしまった。込み上げた「ンフフフフ…」と言う笑いも隠しきれていたかわからない。大変申し訳なく、今思うと恥ずかしく思いつつも、正直とてもじゃないけど冷静じゃいられなかった。すごい量のエネルギーを浴びてデトックスされた気がする。毒素とかとことん消滅した気がする。気を抜くとつい鼻歌を歌いそうなハッピー具合でるんるんと帰宅しました。

それからの展開は早かった。新日本プロレスのアーカイブが見れるサイトに会員登録し、ファンタスティカマニアの試合を追いかけ、ルチャドールのアカウントをフォローしまくり、コメントを読んだり聞いたりした。特に最終日のウルティモ・ゲレーロとテンプラリオの試合で、初心に戻った弟子・テンプラリオが師匠のゲレーロに向き合って勝ち、「俺は次のレベルに行く(意訳)」と高らかに宣言したのはストーリー的に胸熱だった。それに加えて次のミスティコとソベラーノJr.の試合で、テンプラリオがソベラーノのセコンドしてたのも最高でした。
これは完全に私の主観だけど、日本語だと少し暑すぎるよ!!(申し訳ない)と思えそうなコメントであっても、スペイン語だとすごく格好良く思える。なんでだろう。とことん潔いからだろうか。別のジャンルだと、メキシコ人歌手のルイス・ミゲルの歌詞も、最初歌詞を知った時は「Mía, hoy serás mía(今日こそ君は僕のもの)とか、ダイレクトだし俺様感あってマッチョだな、、」と思ったものだけど、今ならその魅力もラテンらしさというか、よくわかる。しかし、ジャニーズとか特撮とか、日本でも身体能力高い方々が華麗にバク転決めてたりするのに、なぜルチャドールがバク転すると確実に推したくなるんだろう。

ルチャを知れてよかったなあ。と思いつつ、後でしいたけ占いを見たら、ルチャの試合を見に行った週は「どハマり注意報」だったらしくて、ギクっとした。「ハマりすぎて本職がおろそかになる可能性あり(意訳)」とのことで、的中している。3月はテストもあるので、ほどほどに嗜みたいと思います。

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